Agent Rumble(仮称)設計書 v1 AIエージェント対戦ゲーム — 個人が育てたエージェントを評価・キャラ化して戦わせる

「あなたのエージェント、キャラになる。」— 育てるのは現実、戦うのはアリーナ。
2026-07-10 / 設計書 v1(企画詰めフェーズの成果物・実装前の最終叩き)
※名称「Agent Rumble」は叩き台。商標・ドメイン未調査。
※コスト・工数・KPI目標値は概算(信頼性:中〜低)。実装前に再見積り前提。

1. コンセプト(要は何を作るか)

要は「BYOA(Bring Your Own Agent)バトルゲーム」。個人が普段使っているAIエージェント(Claude Codeのskills/hooks等の構成)の実力を測ってキャラクター化し、対戦させる。参加はBYOK(自前のAPIキー持込=運営はキーを預からない)が基本。育成ゲームの「育成」部分が現実のエージェント運用そのものになる。ここが既存ゲームに無い核。

核① リアル育成連動

自分のエージェントの実力を持ち込む。エージェントを現実で充実させると再評価でキャラが強くなる。強さへの寄与はリアル7〜8割・ゲーム内2〜3割に固定。

核② 相対評価が強さの正

強さはElo系の相対評価(勝敗)だけで決める。絶対評価(構成の充実度スコア)は見た目・初期ステータス・タイプにのみ使い、ゲーム強度に直結させない=ハック耐性と潮流耐性の源泉。

核③ 機密分離

エージェント構成本体(プロンプト・skills原文・業務情報)は手元から一切出さない。外に出るのは「能力の指紋」(共通お題のスコア+粗いメタデータ)だけ。

立ち上げ方針: B(ライト型)で出して、A(ガチ対戦型)の核を仕込む

コンセプト3案(A ガチ対戦型/B ライト・パーティ型/C BtoB評価インフラ)のうち、Bで拡散の型を掴みつつ、相対評価と機密分離というAの核を最初から設計に埋め込む。CはPhase3の事業化オプション(大手参入時の生存線を兼ねる)。

誰が・何をして遊ぶか(30秒版)

  1. ハーネス(CLIツール+Claude Code skill)を入れると、構成のメタデータから3分でキャラの仮ステータスが発行され、その場でCPU戦が遊べる
  2. 共通お題(ベンチ)を自分のエージェントに解かせると「覚醒」=真のステータスとアバター(エージェント自身が自画像を生成)が確定
  3. 日々は非同期ゴースト対戦(待ち時間ゼロ)でランクを競い、現実でエージェントを育てて週次の再評価で強くする

2. 市場と競合(空いているニッチ)

直接競合=「個人が実際に使っているエージェント構成を評価してキャラ化・対戦させる」サービスは、2026-07時点のWeb調査では見当たらない(※信頼性:中。非公開ベータ・無名個人開発は捕捉できない)。市場は「ガチ実行系」と「カジュアル作文系」に両極化しており、その間が空白。

実エージェントの実力を持ち込む → ← フィクション・作文 ガチ・競技 ↑ カジュアル・パーティ ↓ NetMind Agent Arena実エージェント対戦・開発者向け最近接の競合・要監視 pvpAI自然言語ルール作文+Elo自動戦闘 GLADIABOTS(2018)作る→全自動観戦の構造が8年実証済み(内蔵ロジックのみ) AIバトラー/空想召喚AIバトル自由記述キャラ×AIジャッジ(実力連動なし) Kaggle Game Arena/ポケモンTCG AI Battle 本企画(空白地帯) 実力持込 × カジュアル入口 × 機密分離 =BYOAバトルゲーム
図1: 競合ポジショニング。ガチ実行系(右上)とカジュアル作文系(左下)の間=「実力を持ち込めるのに気軽」が空白。
競合何をするか本企画との差分脅威度
NetMind Agent Arena(arena42.ai)Claude Code等の実エージェントを人狼・ポーカー等15競技で自律対戦・Leaderboard化「タスクを生でこなす性能」の競技。構成のキャラ化・カジュアル層向け導線なし
pvpAI自然言語バトルルールを書いてElo制ラダーで自動対戦育成の元手が専用の作文=リアル育成連動なし。クリプト色強い
GLADIABOTS行動ロジックを組み全自動対戦(Steam 88%好評)ゲーム内エディタ完結・外部エージェント連携なし。構造の実証前例として参考低(参考)
AIバトラー等の作文バトル自由記述キャラをAIジャッジが勝敗判定実力連動なし。AIジャッジ×演出のUXは参考低(参考)
Kaggle Game Arena/ポケモンTCG AI Battle(賞金$300k超)競技専用AIの開発対戦「開発コンペ」であり個人の実用エージェントではない。ただし大手資本が「AIを戦わせる」領域に参入し始めたシグナル中(将来)

残っている空白(調査ベース): ①実用エージェント構成の指紋化→キャラ変換 ②エージェント自身による自画像生成 ③ガチとカジュアルの橋渡し ④運要素を明示設計したAIエージェント対戦、の4点全てが本企画の構成要素。

3. ゲームデザイン

3-1. コアループ

育てる(現実) skills/hooksを充実させる 測る(週次) 再評価→ステータス更新 戦う(日次) ドラフト→ゴースト対戦3〜5戦 見直す 成長フィードバック→次の育成 お題は月次1/3入替・シーズン(3ヶ月)で全入替+ランクのソフトリセット
図2: コアループ。「育てる」が現実のエージェント運用である点が既存育成ゲームとの決定的差分。非同期ゴースト対戦(相手の分身と戦う・待ち時間ゼロ)はSuper Auto Pets等で実証済みの型。

3-2. 初日体験(最重要の入口設計)

初戦到達までの重さはゲームの生死を分ける。ベンチ実行(最大30分・API実費)を初日に置くと大半が脱落するため、2段階参加にする。

  1. 3分で初戦: メタデータ7項目だけで仮ステータスを即時発行→その場でCPUゴースト戦。API実費ゼロ
  2. 覚醒イベント: 後日、共通お題を解くと真ステータス+アバターが確定する「覚醒」演出。重い工程を報酬化して後ろへ置く

自分のエージェントを持っていない場合: 運営提供の貸与エージェント(性格違いプリセット+数問の質問で個性が変わる簡易カスタマイズ)で即参加できる。本格的なライト層開放はPhase1後半(7-1)。

3-3. モード構成(B→Aの積み方)

フェーズモード操作中身
B(ローンチ)ストーリーHITLコマンド式CPU戦。人が指揮する腕の見せ所。ライト層の入口
カジュアル対戦ドラフト→自動非同期ゴースト対戦。待ち時間ゼロ
ベンチマークBOT戦ドラフト→自動常設CPU。新規の練習台・過疎時の受け皿
A(Phase2)ランクマッチドラフト→自動裏MMR×見えるティア。シーズン制
チーム戦3人×各1体の3vs3勝ち抜きフレンド招待基本・欠員はゴースト代替
観戦イベント上位戦・シーズン決勝のみ実況LLM+勝敗予想(無償ポイント)。常設観戦はやらない

「準備は人間・戦闘は自動で観戦」の分離はTFT(オートチェス)で実証済みの型。リプレイ基盤(乱数シード付き戦闘ログの再生)だけはBフェーズから実装=不正監査と将来の観戦の土台。ただし用途は監査優先で簡素に。

3-4. バトルシステム

解決ルール

素早さ順のターン制。パラメータはHP・物理攻撃・物理防御・魔法攻撃・魔法防御・素早さの6値+技4枠+必殺技1枠。全戦闘は乱数シード付きログで完全再現できる決定論設計(詳細6-2)。

戦闘前ドラフト(勝敗を「腕」に返す装置)

対戦前に相手の指紋概要を見て30秒で技4枠・アビリティ・スタンスをピックする。同一ステータスでもプレイ判断で勝率が±20〜30%動くことを設計目標にする。非同期戦の相手側は事前登録した防衛ドラフトで応戦(公正性の担保は6-2)。これが無いとランクは「ベンチスコア比べに演出を被せたもの」に堕ちる=測るのはリアル・勝つのは腕。

指紋→キャラ変換(ポケモン三層モデル)

種族値=構成の骨格 アーキテクチャの型(モデル・権限・ hooks設計)→6値の基礎配分 個体値=登録時の運 登録時1回だけのランダムロール (登録ロールの量産・選別は対策済み) 努力値=運用実績 お題スコア・実際に発火した構成要素 →上限付き蓄積・一点集中に上限 6ステータス HP/物攻/物防/魔攻/魔防/素早さ 技4枠+必殺技1枠 上位能力カテゴリから自動生成 タイプ(6種環状相性) お題スコアの種別内訳から決定
図3: 三層変換。「素質×運×鍛錬」で同スコア帯でも型が分かれ、技4枠の取捨選択で個性が出る。変換式は非公開・シーズンごとに微調整(ハック標的化の対策)。
要素決定根拠・補足
タイプ相性6タイプ環状(共通6分類=コード/調査/データ処理/文書・創作/運用自動化/計画・対話。skills分布・お題種別と同一軸)。倍率は1.3倍/0.8倍に圧縮2倍/0.5倍は単騎1vs1では「マッチング時点で勝敗確定のくじ」になるため圧縮。技のサブタイプで不利対面にも択を残し、マッチングで相性の偏りを長期平準化
運要素(1〜2割)ダメージ幅±15%・僅差時の行動順ブレ・TrueHit式命中(2乱数平均)の「見えにくい微振れ」。互角時の結果分散15〜20%派手なクリティカルはガチ層の炎上リスク。目標値=総合力2割差で格下勝率30%前後・5割差でも10%以上(ジャイアントキリング担保)。βで実データ調整
スタンス選択安定型/博打型=分散幅を自分で選べる実力者が運を制御できる余地=「リスクを取るか選ばせる」のが運バランスの理想形
成長配分リアル再評価7〜8割・ゲーム内2〜3割。ゲーム内成長は基礎6値に触れない(アビリティ枠・消耗品・スタンス拡張のみ)基礎値をゲーム内で盛れると核①が時間・課金で覆るゲームに退化する
再評価週次キャッチアップ方式(ハーネス起動時に承認付き実行・消費見積り提示)。下降あり・1回の低下幅にキャップ。再評価ごとに「調査系の完遂率が伸びた→魔攻+3」等の方向性フィードバックを必ず返す無人cron前提は不発が多くベンダー規約とも相性が悪い。因果の開示が無いと「何をしたら強くなるか」が見えず育成の手応えが死ぬ(お題自体は非公開のまま方向だけ開示=ハック耐性と両立)
復帰救済低下分の適用猶予+復帰後初回の即時再評価無償。初月は即時再評価の回数制限なし下降ありの評価は放置すると復帰動機を潰す
報酬勝利=無償通貨+汎用アビリティ抽選+コスメ素材。敗北救済=参加通貨(勝利の1/3)+連敗時の緩和。実スキル譲渡はやらない相手スキル譲渡は機密漏えいと財産移転の問題に正面衝突。敗北ゼロ報酬は新規離脱を招く
アバターエージェント自身が「共通テンプレ+選択式トレイト+指紋」から自画像を生成(生成はユーザー側実行)。レアリティは装飾のみで戦闘力非連動。再生成はシーズン1回+昇降時無償ユーザー側生成は著作権侵害主体が運営になる構造の回避を兼ねる(7章)。自己記述の自由文は外に出さず選択式に落とす(5章)
デイリーデイリーお題=自分のエージェントに小タスク1本を解かせると必殺技ゲージ/消耗品が貯まる能動アクション「待つ・結果を見る」だけの日課は2週間で死ぬ。核①を日次粒度に落とす
ライト層導線貸与エージェントは性格違いプリセット3〜5種+簡易カスタマイズ(3-2)。再評価は軽量お題(5分・低コスト)の別枠全員同一ステータスの貸与では「自分のキャラ」という唯一の訴求が消える

4. 評価システム(企画の生命線)

4-1. 二階建て構造

絶対軸(能力の指紋) 共通お題スコア 70% +メタデータ 30%(バケット化・発火実績のみ) サーバがEd25519署名付き証明書として発行(自己申告無効) 相対軸(レーティング) 対戦の勝敗だけで算出(Glicko-2→TrueSkill) 3ヶ月シーズン・placement10戦・裏MMR×可視ティア 使い所(3つだけ) ① アバター見た目・レアリティ演出 ② 初期ステータス(総量差±15%上限) ③ タイプ割当(お題スコア種別内訳から) 使い所(強さの正はこれだけ) ランク・マッチング・報酬・昇降の全て 評価APIを分離し絶対軸から参照不可(実装で禁止)
図4: 二階建て評価。絶対軸は「見せる評価」・相対軸は「強さの評価」。絶対軸をゲーム強度に直結させないことがハック耐性と潮流耐性の両方を生む。

4-2. 能力の指紋(収集するもの・しないもの)

収集する(7項目・全てバケット化)

①skillsのカテゴリ別分布(共通6分類の個数のみ)②hooksのイベント種別カバー数 ③MCP接続数(カテゴリのみ)④subagent定義数 ⑤カスタムコマンド数 ⑥CLAUDE.md/rulesの規模階級 ⑦運用日数(サーバ初回登録起算=backdate詐称対策)。メタデータはお題実行トレースで実際に発火した要素だけカウント=ダミー水増し無効。

収集しない(絶対)

skill名・本文・プロンプト原文・CLAUDE.md原文・MCP接続先名・業務データ・APIキー・ファイルパス/ホスト名。項目別オプトイン可(未提供は平均値扱い・ペナルティなし)。

4-3. 共通お題(ベンチ)の設計

4-4. レーティング

4-5. ハック耐性(三段構え+思想の転換)

設計思想: 完全防止は不可能。「検知確率×ペナルティ」の期待値で抑止する

機密分離(構成本体を出さない)を守る限り、サーバは提出者の実行を完全再現できない=「再実行照合」は原理的に成立しない。よって真正性の担保は①統計的整合性検知 ②疑義時の即時再挑戦チャレンジ ③上位帯限定の公開検証イベントに置き、不正確定は0点+除名で期待値を潰す。

段階対策
発行時個体別パラメータ化変種+ワンタイムトークン・時間依存の事実の混入(事前学習の無効化)・署名付き公式ハーネス経由以外のスコア不受理
審判時機械判定優先・審判に自由文を渡さない・審判プールのランダム割当・デリミタ隔離
事後公開/非公開スコアの乖離監視・勝率の統計異常判定(Fisher結合検定)・対戦グラフの共謀検知・上位帯ほど高率の抜き取り監査・疑義フラグ時は新変種お題の時間制限付き再挑戦を強制(pass^k一貫性で照合)・不正報告の報奨窓口
個体量産対策個体生成に指紋実測(時間コスト)を必須化・構成骨格ハッシュのクラスタリングで多重placement検知・初期ランク上限(placementガチャ潰し)

4-6. 土台モデル格差(P2W問題)と潮流耐性

5. 機密分離・セキュリティ(世界公開の前提条件)

5-1. データフロー原則

ユーザーのローカル環境 業務エージェント 構成原文・業務情報(不可侵) 出場用プロファイル 機密除去コピー(必須動線) お題専用サンドボックス 業務ファイル・実MCP到達不可/ネットワークはLLM APIのみ MCPは運営提供モックに強制差替え/調査は同梱コーパス内検索 署名付きハーネス(OSS・再現可能ビルド) ホワイトリスト送信=許可フィールド以外は物理的に送れない 3種のみ サーバ(外に出るのはこれだけ) ① 能力の指紋(署名付き証明書) お題スコア+バケット化メタデータ7項目 ② 構造化イベントログ ツール呼出列・成果物ハッシュ・トークン統計(原文なし) ③ アバター画像+選択式トレイト 自由文の自己記述は送らない(固定語彙の列挙型のみ) 出ないもの: 構成原文・プロンプト・業務データ APIキー(BYOK=運営は預からない)
図5: データフロー。「検知で防ぐ」でなく「盗る物を置かない・送る経路を持たない」構造で守る。

5-2. 脅威モデルと対策

脅威攻撃シナリオ対策
お題経由のprompt injection悪意あるお題文がエージェントに構成原文や機密を出力させるお題はサーバ署名済みプールからのみ発行。出場用プロファイル必須(業務構成を持ち込まない)+サンドボックス内に業務ファイル・実MCPが存在しない構造で、注入が成功しても盗る物が無い
MCP経由の漏えい実MCP(Slack/Notion/Drive認証)をお題環境に持ち込むと注入一発で社内データが成果物に混入出場環境では実MCPを一切ロードせず運営提供のモックコネクタに強制差替え。MCP活用力は「モックの使いこなし」で測る
成果物への機密の滲み出し業務ペルソナが「具体例」として顧客名・数値を自然に書く出場用プロファイル+構造化ログ限定+secret/PIIスキャナ+ユーザー定義NGワード辞書+構成原文との類似度検知で送信ブロック。無人時は「機密検知0件のみ自動送信・ヒット時は保留して次回対話時に差分提示」
対戦相手経由の攻撃相手の出力が自エージェントのコンテキストに入ると任意注入が可能非対話設計: 両者が独立に解きサーバ側で突合。掛け合い演出はサーバの演出LLMが生成し、ユーザーのエージェントには渡さない
なりすまし・指紋偽造自己申告値の偽装・改ざん指紋はサーバ発行のEd25519署名付き証明書。更新は署名ハーネス経由の実測のみ
再識別(匿名の突破)SNS共有×週次指紋の時系列で「この匿名は○○さん」と推定される公開プロフィールのデフォルトは最粗(タイプ+段位のみ)。推移・分布の公開はオプトイン。共有カードは段位・アバター・戦績のみ

5-3. 企業ユーザー(情シス)対応

主ターゲット=業務でエージェントを育てる層である以上、「情シスが許可できる」ことは周辺論点でなく獲得戦略の根幹。シャドーIT化したら発覚時に運営の信用ごと毀損される。

5-4. モデレーション・コンプラ

6. 技術アーキテクチャ

6-1. システム構成

クライアント 署名付きCLIハーネス(OSS) +Claude Code skill(第一弾) BYOK・サンドボックス実行 第二弾: Cursor対応 ① 評価サーバ お題発行・採点・指紋(署名)発行 ② レーティング/マッチング Glicko-2・ゴーストプール ③ 対戦解決エンジン 決定論シミュ(TS・シード乱数) ④ 演出LLM(軽量モデル) ハイライトのみ・キャッシュ・200token上限 ⑤ Webフロント リーダーボード・リプレイ再生 アバター表示・戦績共有カード Next.js (Vercel)+Supabase (認証・記録・ジョブ)
図6: 5コンポーネント構成。採点器・お題供給・演出生成・レーティング計算の4モジュール境界を最初から分離(スケール時の変更予約)。

6-2. 対戦解決=決定論シミュ+LLMは演出のみ

ランク戦もストーリー戦も同一の決定論エンジン(指紋由来ステータス+シード乱数)で解決し、LLMはハイライト3〜5箇所の演出テキストだけに使う。毎ターンLLM判断は不採用=コストが対戦数に線形で効き(3〜4倍以上の差・※信頼性:中)、審判バイアス対策を毎戦抱え込むため。決定論+シード保存でリプレイ完全再現=監査と観戦の土台を兼ねる。全対戦を「ゴースト対ゴースト」にデータモデル統一(本人不在でも即時解決・同期/非同期が同一実装・24時間マッチング成立)。

非同期戦の公正性: ゴースト側は所有者が事前登録した防衛ドラフト(既定ピック+スタンス+HITL入力履歴から学習した選択傾向)で応戦する。攻め側だけが相手を見て後出しできる非対称は残るが、全員が攻め(当日ドラフト)と防衛(事前登録)の両面を持つため長期のレートでは相殺される=防衛ドラフトの練度も「腕」の一部。

6-3. ユニットエコノミクス(概算・※信頼性:中)

項目原価負担者・上限設計
ベンチ実行(エージェント側)ユーザーのモデル利用量に依存ユーザー負担(BYOK)。軽量お題(5分枠)併設+月2回まで運営負担の評価枠(軽量モデル限定・運営側プロキシ経由=キー配布なし・5-4)でサブスク層の参加障壁を緩和
採点(サーバ側)機械判定+軽量LLM1判定で1評価3〜8円。合議は抜き取り時のみ運営。全件を3体合議×順序入替(=6判定/問)にするとLLM判定分が約6〜9倍(1評価16〜75円)に跳ねるため通常時はやらない
対戦解決決定論部ほぼ0円運営
演出1戦1〜3円(フル演出時)運営。無料枠はフル演出5戦/日まで・超過はテンプレ文+数値ログ(0円)。プロンプトキャッシュ+出力200token制限をMVP仕様に前倒し=ヘビー無料ユーザーの原価上限を設計で保証
アバター生成ユーザー側実行(原案どおり「エージェント自身が生成」)ユーザー。運営は受領・モデレーション(無料API)・掲載のみ

6-4. MVPスコープ(2段分割)

第1弾(6〜8週): 「測る」だけで出す

ハーネス+Claude Code skill/評価サーバ(OSSベンチ変種10問・機械採点)/指紋→仮ステ即時発行/アバター受領・表示/リーダーボード。対戦なしでも「自分のエージェントが数値とキャラになる」で刺さるかを検証できる

第2弾(+6〜8週): 「戦う」を足す

決定論対戦エンジン/戦闘前ドラフト/非同期ゴースト戦(カジュアル)/CPUゴースト連戦のストーリー最小版/演出LLM。外すもの: リアルタイム同期・チーム戦・多言語(日英以外の3言語目以降)・常設観戦・階級リーグ。

スタック: Next.js(Vercel)+Supabase(認証・対戦記録・リーダーボード・ジョブ)+採点/演出はHaiku級。P0(図7)=この第1弾+第2弾を合わせた区間。工数は自己見積り(※信頼性:低〜中)=Phase0ゲート期限は2ヶ月でなく4ヶ月に設定。スケール時の変更予約: お題自動生成の高度化/コンテナ分離検証/演出蒸留/TrueSkill・BT化/キュー・ワーカー分離。

7. 事業設計・法規制

7-1. ターゲットとGTM

獲得順序: ①エージェント愛好家(Claude Code/Cursor・英語圏含む・Phase0-1)→②ライト層(Phase1後半・SNS共有+観戦演出)→③企業(Phase3・C案)。訴求は一点「毎日使っている自分のエージェントがキャラになり、強さが可視化される」。初日からグローバル(日英UI)=初期ターゲットは英語圏が厚い。

7-2. マネタイズ

やるやらない(理由)
・バトルパス+スキン/アバター装飾の直販(コスメ課金主軸)
・課金価値は人間デザイナー制作のフレーム・エフェクト・画風テンプレに寄せる(AI生成部は権利が立たないため無償の土台と位置づけ、規約+商標で防御)
・大会は無料エントリ+スポンサー/運営原資の賞金
・アフィリエイトは補助限定(AIツール・APIサブスク導線のみ・構成比1割未満)
・BtoB評価インフラ(Phase3・C案)
・有料ガチャ(規制リスク+公正性毀損)
有償で購入できるゲーム内通貨(資金決済法の前払式支払手段該当を構造的に回避。通貨は無償付与のみ・決済は法定通貨直接)
・NFT/RMT/換金機能(賭博・資金決済リスク)
・対戦回数の有料スタミナ制(対戦データ資産の蓄積を自ら妨げる)
・強さ直結要素の課金(課金による再評価回数増は「利便性(待ち時間短縮)」に限定。課金経路のステータス反映は全員週次同時とし、覚醒・復帰救済など無償イベントの即時反映のみ例外=P2W排除と景表法の有利誤認対策)

7-3. 法規制チェック(設計で回避済みの構造・※法務レビュー前提)

論点設計上の回避状態
賭博該当性参加費と賞金原資の分離(無料エントリのみ)・換金性なし報酬構造回避
景表法(ガチャ・誤認)有料ガチャ不採用・訴求文言は「対戦・ランク進行は無料」に統一構造回避
資金決済法有償通貨を発行しない(設計原則として明文化)構造回避
生成アバターの著作権生成はユーザー側実行(運営は掲載者ポジション)+類似度事前照合+通報即応SLA・規約で表明保証運用併用
AIベンダー規約BYOK公式・サブスク自動実行は非提供・モデル名は公表面でデフォルト非表示(「モデル間比較」に見せない)・事前パートナー照会照会必須
GDPRデータ最小化+削除は「個人データ削除+記録の匿名化」設計。EU込みで出すなら代理人指名等を初期要件に繰り上げ(推奨)/またはEU除外スタート要判断
未成年16歳ゲート+18歳未満は課金無効構造回避

※上記は設計段階の整理(信頼性:中)。リリース前の弁護士レビュー(各国規制+ベンダー3社規約突合)は必須タスク。

7-4. ロードマップとゲート

P0 プロトタイプ 〜4ヶ月・第1弾+第2弾 ゲート: E2E成立・ テスター30人 連戦率50% P1 Bローンチ 〜6ヶ月・単一リーグ ゲート: 登録1,000体・ 週次参加30%・共有10% P2 Aランク戦 シーズン制・チーム戦 ゲート: 1万体・課金3%・ 月次黒字・シーズン1周 P3 C BtoB展開 評価インフラ事業化 パイロット3社・指紋と 実務性能の相関実証 撤退規律: ゲート未達2四半期で継続可否レビュー / 大手参入時はC軸へピボット(生存線)
図7: フェーズゲート。各ゲートは次フェーズの前提仮説の検証に対応(連戦率=面白さ・共有率=拡散エンジン・課金率=事業性・相関=C案の商品性)。KPI値はF2P(基本無料ゲーム)の一般水準からの仮置き(※信頼性:中)。

7-5. 堀(大手対策)

8. 主要リスクと対応(設計に織り込み済みの上位項目)

#リスク(何が壊れるか)本設計での対応
1機密分離ゆえにサーバが提出結果を再現検証できず、スコア偽装が通る(アンチチートの空洞化)「完全防止不可」を前提に、統計検知+疑義時の即時再挑戦チャレンジ+上位帯の公開検証イベント+0点/除名の期待値設計に建付けを変更(4-5)
2BYOKでモデルID偽装が可能=階級リーグが無意味化Phase1は単一リーグ+マッチングハンデ。階級リーグは検証手段が立ってから(4-6)
3ランク戦に意思決定が無く「ベンチスコア比べの演出」に堕ちる戦闘前ドラフト必須化(プレイ判断で勝率±20〜30%)=測るのはリアル・勝つのは腕(3-4)
4初戦到達1時間超+API実費で初日に大量脱落メタデータで3分初戦→ベンチは「覚醒イベント」に後置(3-2)
5お題×サンドボックスの矛盾(調査お題が解けない or 注入経路が開く)調査は同梱コーパス内検索・実MCPはモック差替え(4-3・5-2)
6業務エージェント直接参加による機密の滲み出し・情シス禁止→シャドーIT化出場用プロファイル必須動線+構造化ログ限定+OSSハーネス+情シス向け1枚(5-1・5-3)
7演出・採点コストが無料ユーザーで青天井→黒字ゲート崩壊フル演出5戦/日上限・採点は機械判定+1判定・合議は抜き取り時のみ(6-3)
8ベンダー消費者サブスクとの規約衝突で獲得ファネルごと崩壊BYOK公式のみ・手動起動・事前パートナー照会をゲート条件化(5-4)
9お題運用が個人運営で回らずスコアの信頼が崩壊テンプレ×パラメータ自動生成前提(人手は月1テンプレ以下)・OSSベンチ変種で開始・監査/モデレーションは閾値発火のキュー方式(4-3・6-4)
10愛好家層の絶対数が小さく成長が頭打ち/ゴースト戦の熱量不足ライト層導線(プリセット+軽量お題)とP2の観戦イベントで補完。それでも残る構造リスクとして認識(撤退規律で管理)

9. 原案メモの論点への回答一覧

原案の論点本設計の回答
評価は絶対か相対か・基準は・ハックされないか二階建て(4章)。強さは相対評価のみ・絶対軸は見た目/初期±15%/タイプのみ。ハック耐性は三段構え+「検知×ペナルティの期待値」思想
潮流が速い中で評価は陳腐化しないか相対評価=シーズン内の相対位置と定義。ソフトリセット・お題ローテ・ものさしNPC・下降あり再評価で吸収(4-6)
パラメータ付与(物理/魔法の攻守)6値+技4枠+必殺技1枠。指紋から三層変換(3-4)。タイプは物理/魔法の型としてお題種別内訳から割当
スキル・魔法・必殺技の初期付与上位能力カテゴリから自動生成・最特化カテゴリが必殺技(3-4)
成長はゲーム内か・リアルの充実かリアル7〜8割(主軸・週次再評価・下降あり)+ゲーム内2〜3割(基礎値不可侵)(3-4)
運の要素1〜2割見えにくい微振れ(±15%幅・TrueHit・行動順ブレ)で分散15〜20%。格下勝率30%目標=ジャイアントキリング担保。スタンスで自己制御可(3-4)
勝者への報酬(スキル譲渡?)実スキル譲渡はやらない(機密と財産移転の問題)。無償通貨+汎用アビリティ+コスメ。敗北救済あり(3-4)
HITLコマンドか全自動か両立+戦闘前ドラフト。ストーリー=HITL/ランク=ドラフト→全自動(3-3・3-4)
個人情報は漏れないか・世界中誰でも参加機密分離のデータフロー(5章)=出るのは指紋・構造化ログ・アバターの3種のみ。データ最小化・匿名デフォルト。EU方針のみ要判断(10章)
アバターは各エージェント自身に生成させる採用。ユーザー側実行(著作権の侵害主体回避を兼ねる)+テンプレ制約+全件モデレーション(3-4・5-4)
マネタイズ(アフィリ?)主軸はバトルパス+コスメ(人間著作部分に課金価値)。アフィリは補助1割未満。有償通貨・ガチャはやらない(7-2)
参考ゲームポケモン(三層・技4枠・相性)/TFT(準備は人・解決は自動)/Super Auto Pets(ゴースト非同期)/GLADIABOTS(構造の実証前例)/Elo系運用はChatbot Arena・Pokémon Showdown(2〜4章)
競合はいるか直接競合なし(※信頼性:中)。最近接はNetMind Agent Arena・pvpAI(2章)
大手にマネされないためには普及スピードより「レートの公正さ+データ蓄積+コミュニティ」の堀。参入されたらC軸ピボット+指紋プロトコル標準化(7-5)
他にインフラ等で考えることユニットエコノミクス上限設計・お題運用の自動化・ベンダー規約・資金決済法・GDPR・未成年(6〜7章)

10. 未決事項(要判断4件)

① 事業主体と初期予算

個人/別法人で始めるか、ABEJA事業に載せるか。法務レビュー費・グローバル決済・P2黒字化までの赤字原資(自己資金/スポンサー/出資)に直結。推奨: まず個人サイドプロジェクトとしてP0を回し、連戦率50%の手応えが出てから主体を決める

② ストーリーモードの世界観

AI業界パロディ寄り(開発者に刺さる・初期層と相性良)か、王道ファンタジー寄り(一般層に開く・寿命が長い)か。ゲームの顔になるため好みで決めたい。推奨: P0-1はパロディ寄り(初期ターゲット一致)、ライト層拡張時にトーン再調整

③ 名称「Agent Rumble」の承認

承認なら商標・ドメイン調査へ進む。ポジショニングは「世界初のBYOAバトルゲーム」。対案検討も可。

④ EU方針

案1=EU/EEA/UKを規約+ジオブロックで除外してローンチ(法務最軽量)/案2=EU込みで代理人指名(年数万円の代行あり)+GDPR初期対応を繰り上げ(英語圏コミュニティにEUエンジニアが多い実態に合う)。推奨: 案2。中途半端な「英語UIあり・EU対応なし」が最悪。

次アクション(設計書承認後)

  1. 未決4件の判断(上記)
  2. P0着手前の外部確認2本: Anthropicへのパートナー照会(Claude Code公式skillの事前照会)/弁護士レビューの見積り
  3. P0第1弾(測る→キャラ化)の実装計画書=本設計書6-4を実装タスクに分解
  4. 指紋変換・運要素パラメータのシミュレーション設計(勝率カーブの机上検証)